トリエ京王調布 改札階1F ベーカリー&カフェ ルパ 営業本部 担当 上原さん
トリエ京王調布 A館1F グリーンサム 製造責任者 長谷山さん
調布市国領町 やさしいパンのお店 PINO オーナー 松林さん
住所:東京都調布市国領町4-46-17
インタビュアー 池田 浩明
《https://painlabo.com》
出店は、穏やかな
調布の雰囲気が決め手
池田:本日は座談会にご参加いただきありがとうございます!調布のパン屋さんならではのお話をたくさんお伺いしたいと思います。まずは、調布に出店した経緯を教えてください。
上原:京王線沿線に多く店舗を構えるルパですが、調布店はトリエの開業と同時にオープンしました。調布をより魅力的なまちにしたいという思いで立ち上げています。
池田:京王線の改札を出てルパさんを見つけると、『京王線沿線に来た!』と感じます(笑)
松林:長く京王線沿線に住んでいたので、よくルパさんのパンを食べていました。今でも新商品が出るたびにチェックさせてもらっています!
池田:そんな松林さんは、なぜ国領にお店を構えたのですか?
松林:出店するなら京王線沿線で考えていました。その中で、国領駅前のメイン通りである「狛江通り」の歩道が広くゆったりとしていて、街並みもきれいで気に入りました。また、国領駅の乗降者数が多かったことも理由のひとつです。
池田:国領駅も調布駅も周辺がとてもきれいで、まちのイメージがどんどん上がっていますよね。
各店舗のこだわりがたっぷり
詰まった珠玉の“推しパン”たち!
池田:今日は、各店舗の推しパンを持って来ていただきました!まずはルパさんから、ご紹介をお願いします。
上原:一つ目は、三角形がトレードマークの「フレンチトースト」で、今年34年目を迎えるルパの創業当時からずっと人気の一品です。
池田:大きくて、食べ応えがありそう!
上原:二つ目は、調布店の人気商品の「国産しらすのパン」です。国産のしらすをたっぷりトッピングしたうえに、チーズを乗せて焼き上げることで、しらすの塩気とチーズの甘みが相性抜群な一品です。
三つ目は、「ほんのり甘いデニッシュベーグル(国産小麦使用)」です。中はもちもち、外はカリっとした食感がたまりません。
松林:ベーグルの生地にバターや油脂を折り込んでいるのですか!?
上原:はい!ただ、通常のベーグルよりもちもち感は強くなく、そのかわりにサクサクふわふわな生地を八の字に成形しています。
池田:この商品はいつ開発されたのですか?
上原:これもフレンチトーストと同じく、長く愛されているパンのひとつです。毎月、新商品を5種類程度展開していて、年間にすると60種類程度になりますが、このような定番商品も多くあります。
池田:開発力がすごい!PINOさんの推しパンは?
松林:なんといっても「クリームパン」です!店舗ではオープン当時からクリームパンをひたすら推しています。人気順でいうと、一番目がこのクリームパンで、二番目が「PINO食パン」、三番目が「メロンパン」です。
池田:生地はふわふわで、クリームもものすごく濃厚なクリームパンですね…!
まるでプリンを食べているようです!
松林:見た目も味わいも、昔懐かしいクリームパンのイメージで作っています。特に卵にはこだわっていて、調布のお隣・府中の高野養鶏場さんの卵を使っています。
池田:調布近隣の食材も使っているのですね!グリーンサムさんはいかがですか?
長谷山:調布店でのダントツ人気は「クロワッサン」です!
池田:外はサクサクで、中はしっとりした食感ですよね!
長谷山:はい。季節に関わらず人気のあるパンなので、一度は食べていただきたいです!せっかくなので、夏にぴったりのパンも紹介させてください。一つ目は、北海道の枝豆を使った「枝豆塩パン」です。塩をかけてローストしてあるので、枝豆が香ばしくなり、生地の甘みと、トッピングのプレッツェルソルトの塩気がバランスよく感じられます。
二つ目は、「ピスタチオコロネ」です。冷蔵庫で冷やすとパリッとした食感になるので、ぜひ夏は冷やして食べていただきたいです!実は、夏と冬ではクリームの配合を変えていて、夏は冷やしてもクリームの食感が楽しめるよう調整しています。
上原:実は私、いま長谷山さんが紹介してくれたパン、全部食べたことがあります。特に「クロワッサン」は、当社もこういうものを作りたいなと思いながら食べていて……!「ピスタチオコロネ」は冷やして食べたら絶品でした。
長谷山:本当ですか!?すごくうれしいです!
個性あふれる独自の取り組みは
地域に根ざしたパン屋さんならでは
池田:調布でパン屋さんを営んでいて、「よかったな」と思うことはなんですか?
上原:一番反響があったのが、昨年公開された映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』とのコラボ。営業前から行列ができ、連日完売でした!調布は、水木しげるさん縁(ゆかり)の地。鬼太郎ファンの多さにびっくりしました。
松林:すごい!これ作るのすごく大変じゃないですか?
上原:はい……。実は、とても大変でした(笑)
池田:赤いソースは何を表現しているのですか?
上原:映画のメインイメージが“血桜”なので、いちごクリーム部分にいちごの顆粒を乗せることで桜感を表現しています。チョコ生地部分はハサミで切り刻むことで木のゴツゴツ感を演出しています。
松林:とても手間がかかっていますね!
上原:多いときは、一日300個作ることもあり、だんだん握力がなくなってきて……。
一同:うわー、大変!
松林:私は、子どもたちの成長を見守れることが良かったなと感じています。小さな頃からお店に来てくれた子が今では中学生になり、ずっと通ってくれるのがうれしいです。逆に、高齢の常連のお客さまが突然いらっしゃらなくなって心配になることも……。“まちの見守り”的な存在のパン屋さんであれたらいいな、と。
長谷山:お子さんが「このパンがいい」って同じパンをずっと買い続けてくれるのは、すごくうれしいですよね。調布店はリピーターになってくれるお客さまが多く、新商品が出るたび目当てに買いに来てくれることもありますし、去年の展開商品を今年も販売することを発表すると、「待ってました!」と喜びのお声をいただくこともあります。
心がけはそれぞれでも
すべては“調布のため”に
池田:パン屋さんを営むうえで、みなさんが大切にしていることを教えてもらえますか?
上原:老若男女、いろいろな方が調布駅を利用されているので、みなさんに満足いただけるような商品のラインナップを心がけています。お客さまから「こんなパンはないの?」、「あのパンなくなっちゃったの?」と、日々さまざまなお声をいただいているので、それをすぐに反映できるようにしたいです。
池田:お気に入りだった商品の再販リクエストもできるのですか?
上原:はい。なるべく実現できるようにしています。商品を変えるたびに、そういったご要望をいただくので、お店を愛してくださっているのだろうな、と感じますね。
松林:安定したものを作り続けるということを大切にしています。性質上、国産小麦は毎回同じように調整することが難しいんです。そこをいかにリカバリーしていくかを考え、安定した商品が作れるよう調整しています。
また、製造担当は私一人なので、徹底した体調管理をしています。
お客さまとのコミュニケーションも大切にしていて、地元のお子さんを対象にした「朝のパン屋さんの仕事を見てみよう」という夏休みの特別企画を実施しました。自由研究のテーマにしてくれたり、そのあともお店に来てくれたりと、うれしかったです。
長谷山:ひとつの材料に対してとことん突き詰めていくことを大切にしています。例えば、誰でも対応できるよう調理工程をマニュアル化することは効率的とは思いますが、グリーンサムでは、あえてひと手間加えることに重きをおいています。同じ材料でも一工程加えることで、より味を引き立てることができます。
池田:まさに職人技のパン作りですね。
長谷山:クリームが少しでもダマになったり、クロワッサンの織り込みの高さが1センチでもズレてしまったりしたら販売を見送るなど、細部までこだわって作っています。
池田:グリーンサムさんのパンがとても繊細なのは、納得ですね。
魅力がたっぷり詰まったパンの数々
ぜひお気に入りのパンを
見つけてみて!
池田:最後に、お客さまへのメッセージをお願いします!
上原:現在、調布駅前のロータリーの再開発中で、今後はさらに便利できれいになると聞いています。駅前に出店している店舗として、よりおいしいものを作って、お客さまに楽しんでいただきたいなと思っています。また、原価高騰が激しい中でも、なるべくみなさまの生活に寄り添えるような、手ごろな価格でおいしいパンを提供できるよう邁進していきます!
松林:まちの風景に溶け込めるようなお店にしたいと思っています。上原さんのおっしゃるとおり、原価高騰も続いていますが、嗜好品ではなく日常食として毎日食べられる味と価格のバランスを考えていきたいです。今、来てくれているお子さんが大人になり、その子がまた自分のお子さんを連れてきてもらえるお店にしたいです。
長谷山:少しでもいい素材を選び抜き、安心安全にこだわっていくことはもちろん、全てのパンにこだわりがあるので、それがお客さまに伝わっていたらうれしいです。今年は、ハロウィンやクリスマスなどのシーズン商品を含めた新商品をたくさん展開する予定ですので、楽しみに待っていただけたらと思っています。
池田:調布でお店を出されていて、ライバル店ともいえる間柄ではありますが、共通点があったり、新しい発見があったりと、とても有意義な座談会になりました!これからもどんどんおいしいパンを生み出して、調布のまちがパンと笑顔で溢れるように盛り上げていっていただけたらと思います。
みなさんも、ぜひ調布でご自分だけの“推しパン”を見つけてくださいね。本日は、ありがとうございました!
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